useful確定拠出年金、利回り最高 14年度4.8%
更新日:2015.06.09|お役立ち情報 新着情報 金融・マーケット株高と円安を追い風に、従業員が自ら運用する確定拠出年金の運用成績が改善している。2014年度末までの通算の利回りは年率換算で4.8%と、前年度から約1.6ポイント上昇して過去最高となった。ほぼすべての加入者で元本割れが解消した。加入者によって利回りの格差も目立っており、運用の巧拙が老後の生活資金を左右する傾向が強まりそうだ。
格付投資情報センター(R&I)が、確定拠出年金の運用管理を手掛ける金融機関4社の数値を集計した。加入して半年以上の人について加入以来の運用利回りを年率に換算した。調査対象は約291万人と加入者の6割弱にあたる。
運用利回りはリーマン・ショックに見舞われた08年度にマイナス6%台に悪化した。その後回復し、アベノミクス相場が本格化した12年度からは3%台で推移していた。14年度の利回りは08年度の調査開始後で初めて4%台に乗せた。
14年度は日経平均株価は1年間に約3割上昇。主要海外株も上げ、株式を組み入れる投資信託の利回りが上昇した。円が対ドルで9円程度下落し、外貨建て資産の円換算の評価額も高まった。
株高を背景に投信で運用する加入者も増えているようだ。野村総合研究所によると確定拠出年金向けの専用投信の資産残高は、14年度末で3兆5023億円と13年度末に比べ3割近く増えた。
加入者ごとの利回りをみると、積極運用で10%を超えた加入者は全体の18%と過去最高に達した。利回りがマイナスで元本を割り込んでいる加入者は14年度末では全体の1%となった。08年度末には元本割れが63%を占めたが、運用収益の改善で減少してきた。
ただ、元本こそ割り込んでないものの利回りが0~1%未満の加入者はなお39%に上る。定期預金など元本保証型商品で運用し、株高の恩恵を受けられなかったようだ。加入者間の運用成績の格差は拡大している。
投資に関する知識が運用成績を左右するため、社員への投資教育に力を入れる企業も多い。14年に導入したNTTは約9万人のグループ従業員にのべ1800回の研修を実施。1人あたり3時間半をかけ制度や運用について説明した。その結果、投信などリスク資産に振り向ける加入者は約6割に上り、利回りも好転しているという。
※日本経済新聞より抜粋